最初のご相談から竣工まで1年弱、ゆっくりじっくり作ったこのお部屋。そんなペースだからコッチも無垢素材の経年変化を気長に待って撮影に伺いますよ。約2年経った部屋は素材もしっとり落ちつき味を増しています。

関西ノリでイケイケだけど、実は出不精でお家大好きな奥さん。そして冬でもアロハシャツで武装した見るからに業界人の金髪反骨オヤジだけど、実は社会性アリのダンナさん。なんとも不思議な空気をカモすご夫婦と2匹がココには住んでいます。休日には何をするでもなくワイン片手にダラダラ。大人の部屋にはゆっくり時間がながれていますね。

約60平米の狭いマンションだけど、広いバルコニーと広い専用庭がつかえる住環境に恵まれた部屋。新築で購入して以来、ドアを変えたりタイルを貼ったり細々と手を入れてきたけど元々の間取りでは何をやっても限界があります。ウッドデッキも腐ってボロボロ・・
ア〜なんとかしたい。開放的で光あふれる無垢な大人の部屋、この狭いマンションの一室でそんな理想を追求するのは現実的なんだろうか?・・え〜い!よくわかんないからとりあえず動いてみるか・・。

そんな経緯でウチにやってきたSさん。過去のちょっと無謀なプチリフォームやDIYの話を聞いていると「おいおい、大丈夫かいな?」とも思うけど、本能のままに考えをぶつけてくる奥さんからは「なんとかしたい」と言う思いがヒシヒシと伝わってきます。じゃあこっちも本気で受けるよ。
キビシイ管理規約やこのマンション独自の設備、構造ゆえの出来る事、出来ない事、そして予算内で納める為にあえてご要望やイメージをいったん保留。まずは現実的な既存を残した部分リフォームプランを提案します。
理想からは遠いプランを見て現実を知ったSさんでしたが、妥協することなく食らいついてきます。そうして予算オーバーになっちゃったけど、時間をかけてイメージ通りのお部屋をフルリフォームで実現したのでした。

象徴的で開放的なオープンキッチン。重厚なアンティークレンガ壁のおかげでリビング空間から浮きがちなオープンキッチンが部屋に馴染み、背面収納もあまりキッチンらしくない造作で部屋全体の調和を狙います。
ステンレストップのオリジナルキッチン。下部の引出しキャビネットや調味料キャビネットはコストダウンの為に既存キッチンキャビネットを再利用。面材だけパイン無垢材に交換したら、あらステキ。このマンション標準装備のディスポーザーやキッチンカランなども既存を再利用して、コストダウンと共に以前のキッチンからの使い勝手を継続します。

(次のページにつづく)