築年数がまだ若い閑静な街に建つマンション。住環境やマンションの設備等は申し分の無い条件でした。しかし、新しいマンションの典型プランで無駄が多く、安っぽい仕様や重苦しい色使いに施主は我慢できなかった様です。既存の設備を利用しながら限られた予算を無駄なく最大限に活用する方法を練ります。大きなプラン変更は出来ないので、それぞれの箇所の無駄な部分を修正しながらイメージを固めていきます。

広く開放的で、優しい大人の空間が出来上がりました。子供が元気に走りまわり、旦那が早く家に帰って来るようになりました。

本当はパインの無垢フローリングにしたかったのですが、床暖房が入っている為張れません。(無垢のフローリングには、それに対応する床暖房しか使えません。普通の床暖房が入っている場合は張れないのです)かなり強い茶色のフローリングが張られているので、それを空間に馴染ませるように計画していきます。
天井をスケルトンにし、空間全体にロフトの様な存在感を演出し、床の強いイメージをとけ込ませます。廊下やキッチンのテラコッタタイルとのつながりを工夫し、落ち着いた空間バランスをとっています。
もともとしっかりしたキッチンが付いていたので、そのまま利用します。しかし、扉が深いグリーンで塗られていたので、白く塗替えて明るいキッチンにします。幸い無垢の扉だったので、グリーンを削り落とし再塗装する事が可能でした。最近のシステムキッチン扉はほとんどの場合化粧板が貼ってある仕様なので塗り替えは不可能です。色や仕様を変えたい場合は、扉を交換するしか方法がありません。
ダイニングとの目線かくしの収納カウンターをプランし、それに施主が持っていた食器洗浄器を組込んでいます。背面には冷蔵庫、オーブンレンジなどが収納できる壁面収納を飾り棚を兼ねて提案しています。奥まって暗かったキッチンが程よい開放感のあるセミオープンキッチンになりました。

光の入らない廊下や玄関は、マンション、戸建てに関わらず多いはずです。家族やお客さんが一番最初に入る空間ですから、機能だけでなく、もっと部屋として作ってあげたいものです。光が入らなければ逆にその条件を利用して、照明や素材を工夫して部屋として演出してあげましょう。古材の梁を渡し、間接照明でやさしい光と影を楽しみます。テラコッタの床と珪藻土の塗壁が包み込む様な安心感を与えてくれます。

考え方によっては玄関、廊下をリフォームする事は、機能が単純な空間だけに一番遊べる空間で、一番贅沢な事なのかもしれませんね。

場所: 東京都世田谷区
建物概要: 築4年中古分譲マンション2階
工事範囲: LDK、廊下、玄関、約43平米のみの部分リフォーム
既存扉塗替えを含む

床: LD部分:既存フローリングのまま
その他:テラコッタタイル張り
壁: 珪藻土左官仕上
天井: スケルトン天井AEP塗装仕上、一部珪藻土左官仕上
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