I型プランの話

I型プランのキッチンは日本の狭い住宅事情では一番普及している形でしょう。そんなI型プランは一般的なのに実は欠点の多いプランなんですよ。とにかくワークトップが狭く収納力が弱いに尽きます。かといって長くすればそれだけ横移動が多くなって作業の効率は悪くなりますね。

キッチンスペースが広ければI型プランを拡張して「2列プラン」や「アイランド型プラン」そして「キッチンカウンター」をレイアウトする事で欠点をカバーできるのですが、建物の制約上どうしても単純なI型プランしかレイアウトできない場合も多いですねぇ。そこで工夫が必要となります。

壁構造のマンションだから間仕切りの変更が不可。設備的にもキッチンの移動は困難です。そこで既存キッチンの位置にI型をプランする事になりましたが、狭いキッチンでは収納計画と冷蔵庫の置き場所がポイントとなりますね。

そこでキッチン家電や食器類が収納できるスペースと冷蔵庫置き場をダイニングとの間に計画しますが、圧迫感のあるクローズドキッチンになってしまう怖れがありますね。そこで上部を空けてダイニングと天井をつなげ、風と光がつながる開放感を演出しています。

ホーローシンクにホーロートップコンロ。パイン無垢トップとモザイクタイル。それらカントリーの要素を取り込みつつ大人のコンテンポラリーキッチンをデザインします。

我々の自宅キッチン。狭い部屋の一角に無理矢理詰め込んだキッチンは狭い空間を有効的に使うアイデアと実験が満載です。頑張ればもっと収納をつくる事もできるんだけど、重苦しい圧迫感のあるキッチンになってしまいます。もともとモノが多くないから最低限の収納で十分。それよりも明るくて広く見えるデザインが優先です。

ポイントは天井を広く見せる事。目線より上には収納を作らないで間接照明とディスプレーで天井に広がりを演出します。

無垢な素材で構成したシンプルなコンテンポラリーキッチンはベースがシンプルなので和食器、アンティークホーロー、モダンやアジアンなどなど、どんなテイストの小物やキッチン雑貨の組み合わせでも不思議とマッチしちゃうんですよね。

ちょっとした食事ができればいいからダイニングテーブルはいらない。それならI型キッチンを対面型にして食事のできるカウンターテーブルをプランしました。

 

I型プランだからやはりワークトップのスペースはせまい。そこで背面に作業カウンターと収納、そして冷蔵庫をレイアウトしました。対面キッチンだからお子さんと会話をしながら調理をするのも楽しいはずです。

その後、このスペースは仕事場に用途変更。タイルを貼り直したりと大きな変更はしていないのですが、もともとのショップ的な意匠がお客さまや従業員が集うコミュニケーションスペースとして成立しています。

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